アートと仕事の距離

近くの牛島小学校には、全国でも珍しいクラブ活動があります。壁画クラブ(正式名称:スクールアート・クラブ)です。校内には、いたる所に絵が描かれ、学校の無機的な空間がワクワクする空間に塗り替えられています。数年前から、教科書にも取り上げられているそうです。

5、6年前、当時の柴田校長と美術の梁先生がビッグアートに来社され、3人が意気投合したのが始まりです。これからは美術を学校の中に閉じこめないで、地域社会に役立てたり、普段の身の回りの生活の中に生かしていかなければ美術を学ぶ意味がない、ということでした。

美大や美術・デザインの専門学校から、毎年150~200人の学生たちが会社説明会に訪れます。まず最初に、「壁画会社の存在を事前に知っていましたか」という質問をすると、ほとんど全員が求人票を見て知ったという人ばかりです。がく然としてしまいます。

以前、美大の大学院卒の人が、壁画塾に入ってきました。絵は大学で学んできたんじゃないのと尋ねると、「絵には自信があります。ただ、絵を仕事にする方法がわからない。」というのです。

どうも日本では、アートと仕事の間には大きな隔たりがあるようです。それというのも、学校教育に問題があるように思います。アートを単なる学問の世界の閉じ込めずに、その役割や社会における必要性、そしてどんな仕事につながるかなど、小さい頃から学んで欲しいものです。

4年前から、近くの春日部東中学校の学年活動の授業に呼ばれるようになり、壁画の実習や壁画が街中やお店でどのように役立っているかを話しています。春日部市内には、至るところに壁画が見られます。その意味では、地元の小中学校の子供たちは、小さい時から身近に壁画を見たり理解する機会に恵まれています。あと5、6年もすれば、牛島小や春日部東中卒の子供たちが、当社の会社説明会や求人応募に来るようになるんだろうな、と思うと今から楽しみです。