粕壁宿を演出するシャッターアートたち(その2)

春日部駅東口は古くから「日光道中・粕壁宿」として栄えた宿場町です。
駅の周辺には、今なお当時の面影を色濃く残す建物や街並みが多く残っています。
これはまさに、春日部市の貴重な財産。
まちの集客資源、観光資源としておおいに活用すべきです。

ところが、古くからこの地に住んでいる人々にとっては、身近で見慣れた風景ということもあり、それを自覚している人はごく少数です。
しかも、市民の大多数が他所から入って来た人で、春日部市を歴史のない単なるベッドタウンだと思っている人が多いので、なかなか貴重な歴史的遺産に気付いてもらえません。

そうした中で、粕壁宿の面影の「見える化」活動としてスタートしたのが、このシャッターアートです。
粕壁宿の歴史や当時のイメージ、雰囲気を伝える「街角絵巻」、それがこのシャッターアートです。

シャッターアートで、市民や来街者に春日部市の魅力に気付いてもらうこと。
シャッターアートで、街に物語性が醸し出されて、まち歩きが楽しくなり、歩行者を増やすこと。
そのためには、一定量の数が必要です。
また、通りごとのコンセプトやテーマの一貫性や統一感も必要です。
しかも、シャッターのある店の由来や業種、歴史的な場所柄などにも必然性が求められます。
そのために、事前に街全体のゾーニングや位置づけ、デザインポリシーが重要になってきます。

以上のように、従来のような一社だけで制作するのとは違って、調査、資料集め、関係者との合意、デザイン、調整など気の遠くなるような作業プロセスがあり、この半年間毎日が悪戦苦闘の連続でした。

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10月末で、前回(7月上旬)までの9ヶ所に加え、ようやく新たに6ヶ所が完成しました。
では、ご紹介しましょう。

まずは、昔からカメラ店を営む「クロサワカメラ」です。
古くから写真館を営業していた老舗店を表現するために、日本にカメラが登場して最初に撮った有名人が坂本龍馬という伝説から、坂本龍馬と当時のカメラを表現しました。

次は、華道教室「玉富」。
お花を指導する先生の姿と師匠・玉富さんの座右の銘を表しました。

「大崎生花店」です。
華道教室「玉富」の隣にあって、花つながりでストーリー性も出せます。
江戸時代の花売りの姿「朝顔売り」です。

「カネコ薬局」です。
元禄時代に初代・金子七右ヱ門という人が創業し、現在16代目という老舗中の老舗。
当時の看板や家紋の入った提灯など家宝を見せていただき、それらを絵に取り入れました。

次は、日光道中から少し入った旧・停車場通りに位置する「田村ビル」です。
建物はまだ新しいですが、蔵風の造りです。
東武線「粕壁駅」が開通したころの停車場通りを当時の駅前の写真を元に描きました。

最後は「ヤマキ第2ビル」です。
この辺は、当時旅籠が立ち並んでいた場所。
そこで、旅籠と当時粕壁宿を訪れたという松尾芭蕉と曾良が宿場をたつ風景にしました。

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ようやく、粕壁宿の街角絵巻は15ヶ所を突破。

この後も、シャッターアートの打ち合せ、デザインを続々と進めています。
11月末には何とか20ヶ所に手が届きそうです。
でも、私たちの設定した発火点30ヶ所という目標まではまだまだです。
社員一同、自分たちのまち・春日部市を元気で面白い街にするために、明日からまた頑張ります。