何をやるかではなく、何をやらないか。

会社は、売れなくなるといろんなことに手を出したがります。
多角化経営、取り扱い商品の拡大・・・・。
どんどん尾ひれがついて、訳のわからない会社になって、客が去って行きます。

求職活動している人もそうです。
いろんな資格を取ったり、大学だけでは不安で大学院まで行ったり、30社50社と「数打てば当たる式」に無差別に入社試験を受ける人・・・・。

結局は総花的になり、特長や個性が埋もれて見えなくなる。
間口が広くなると、至る所にライバルが出現して、全方位で戦わなければならなくなります。

ビッグアートも、小さくて少人数の会社にも関わらず、いろんな仕事に手を出しつかみ所のない会社、わかりにくい会社になっているのを感じます。
20年間の垢(あか)ですね。
アトリエの中を見れば一目瞭然です。
今の仕事に要るものは多分20%位でしょう。

やりたいことをやるには、それ以外のことをすべて捨て去ること。
やりたいことだけに、すべてを結集し、特化していく。

やりたいことが見つからない人は、いろんなことに手を出す。
やりたいことが見つかった人は、他を捨てて、潔くひとつのことに集中していく。

ただ、最初からやりたいことがわかる人はいません。
広げてみたから、気づいたのです。
その意味では、この20年やその間に手を広げてきたことは、次のステップにいくための不可欠なプロセスだったのです。

限られた人生の中でどうしても実現したいことができたら、多くのことを諦めなければなりません。
というか、捨てた分だけ前進していくのだと思います。
以前の私は、何かを手に入れることが愉しみでしたが、今は逆です。
何かを捨てる。
やらないと決める。
そんな時、なぜかワクワクしてきます。
それは、多分やりたいことに向かうエネルギーを妨げていた重りがどんどん軽くなっていくからなのでしょう。