いろいろと発展する「ラジオ体操」

新入社員と二人で始めたラジオ体操。
6ヶ月が経過しました。
その間、雨と雪で中止になったのはたったの4日間。
元旦も休むことなく、最近は、雨の日も東屋(定員4人)の下でやっています。
しかも、私は皆勤賞です。
毎週土曜日だけは、ゴミ拾いと掃き掃除も欠かしません。
半年もよく続いたものです。
あまり力まずに気楽に始めたのがよかったのだと思います。

お立ち台で私と新入社員が模範演技をしていましたが、最近ではもう一人増えました。
この2週間、ラジオ体操連盟の指導員の方が毎日1~2名来て、本格的に指導していただくようになりました。
そして先週に12日、ついに参加者は20人を達成。

飲み会や花見などもやるようになり、コアメンバー(5人)の結束も深まりました。
その中の一人が、自主的にラジオ体操実技講習会(東京)に通い始め、指導員資格に挑戦するまでになりました。

ここまで盛り上がってきたのは、本当にうれしくありがたいことです。
しかし、ここで大きな岐路にぶつかりました。
参加者たちから、ウェアや帽子を揃えたいという声が上がりました。
また、ラジオ体操連盟から連盟への加入の誘いがありました。
当社は、会が盛り上がることはいいことだと、受け入れようとしました。

うちの奥さんにそのことを話すと、「そんなことをしたら、皆が気楽に参加できなくなるよ」と反対意見。
ハッと気づきました。
こんな風に散歩途中の人が三々五々集まり、通りがかりの人が飛び込みで参加してくれるのは、自然発生的で自由な雰囲気があるからだと。
そこで、コアメンバーの人たちに問いかけました。
「この会には名前つけない。会長もいない。ユニフォームも作らない。そんなゆる~い「烏合の衆」よような集まりで行きたいと思いますが、皆さんはどう思いますか?」
全員が異口同音に「その方が誰でも自由に参加できる」「会を作ると縄張りができて一般の人が近寄りにくくなる」など、手放しで賛同していただきました。
ということで、ラジオ体操連盟には加入しないことに決定。
もちろん、ラジオ体操連盟を否定するものではなく、むしろより広い輪に広げたいというのが主旨です。

これまで、15年以上まちづくり活動を続けてきて、自分でも「かすかべ元気印の会」など活動団体を立ち上げてきました。
自分の熱い思いがあり、自分だけが先走りしてジレンマに陥ることしばし。
自分がストイックになることで熱狂的な支援者はできるのですが、閉鎖的になったり、排他的になり、活動の輪が広がらないという限界を感じていました。
もうひとつは、活動がトップダウン的になり、意思決定や行動は迅速なのですが、参加者の自主性が薄れ、人任せになってしまう。
このことの反省から、「かすかべ元気印の会」(約2年間活動)も3月一杯で一旦発展的に解散しました。
市民活動のあり方について悶々としていた私に、もっともヒントを授かったのがこの半年間のラジオ体操なのです。

正式に会を作って、ルールを決めて活動すると、参加者は義務的で受け身的になりやすいものです。
そして、幹部グループと会員たちの間にギャップが生まれ、会員が離反していく。
例会や総会には、幹部の数人しか集まらなくなって形骸化していく。
そういう悩みを抱えた団体をよく見かけます。

逆に、私が勝手にラジオを持参して始めただけのラジオ体操。
そこに集まった来た人たち。
私が遅れたらという心配から、ラジオを持参する人が出てきます。
参加する人が減ったら存続しないのではという心配をして、ウォーキングをしながら参加を呼びかける人がいます。
雨の日も私一人でやっていると、可哀想だからと来てくれる人がいます。
杖をついて引きずるようにして歩いていた人が、ラジオ体操のおかげで杖が要らなくなったと喜んでいる人がいます。

私の動きは今までとは真逆です。
空気のような存在に徹し、じっくりと自主性が育つのを待つ。
私は、毎日欠かさず朝の6時30分にラジオを持って会場に行き、10分間のラジオ体操を淡々とやるだけ。
そして、誰かがいい話をしたら、それを皆さんにお裾分けをしてあげる。
つなぎ役です。

まちづくりは、住民の自主性に基づいていない限り空振りになり、一過性で終わってしまいます。
今のラジオ体操の活動は私にとって最高の勉強の場です。
「住民の意識やパワーもまんざらじゃない」という実感が私を勇気づけてくれます。

単なる「健康づくり」から「助け合い」や「絆」といった「共助社会」(コミュニティ)の芽が育ち始めています。
今までの商店や商店街中心のまちづくり発想から住民中心のまちづくりに、私も少しずつ目覚め始めています。
行政主導のまちづくりに大きな疑問を持っていた私に、少し明るい日差しが差し込んできました。

以上が、今日この頃のラジオ体操の成果です。
たかがラジオ体操、されどラジオ体操。
次の半年で大きく進化していくような予感がして、毎日がワクワクです。