日本建築医学協会の講演メモ ~建築医学とは~

日本建築医学協会は、建築学、住居学、医学、環境工学などさまざまな分野の専門家が参加しています。
環境と生体との相互作用と有機的なつながりを解き明かし、住環境の改善につなげることによって、住空間や職場空間を心身が癒される場とする統合医療としての「建築医学」を確立することが目的です。

今までの医療は、「病気をいかに治すか」に重点が置かれてきましたが、建築医学は予防医学・未病医学に軸足を置いています。

建物が人々の心身の健康に影響を与える要素として、
  ・高層建物
  ・コンクリート
  ・部屋の広さ、天井の高さ
  ・傾斜天井
  ・壁の素材
  ・通気性
  ・音、騒音
  ・VOCとホルムアルデヒド(VVOC)
  ・磁気、磁場
  ・採光
  ・風通し
  ・空気、マイナスイオン
  ・グリーン(植物)
  ・色彩
などがあります。

出席者のほとんどが建築業や内装業、壁材メーカー、健康関連業で、最初は場違いな感じもしました。
「音」や「グリーン」「色彩」を除くと、どちらかといえばハードな分野が多く、私のような「アート」や「五感」をテーマにしている者にとっては接点が少ないと思いきや、講演後の親睦会では講師の方たちから逆に強い関心を持たれ、私の立場の方がむしろこの会の中心にいるのかも知れないと直感しました。

なぜなら、「病は気から」ですから。
建物をとりまく有害物質は、すでにさまざまな分野で科学的研究が進み、そのほとんどが解明されていますし、改善するための方法や商材も紹介されています。
それに引き換え、ストレスや心の状態と健康との関係はまだまだ未知な世界です。
「色や形」「光」「音」「素材の質感」「匂い」「味」などが五感を通じて人々の心理にどんな「快感」や「不快感」を与え、それが人々の行動や健康に影響をおよぼしていく。
それは、私の究極のテーマでもあります。

講演で印象に残った言葉をいくつかご紹介します。

いい生き方は、いい住環境で育てられる。

建築とは造形ではない。心の動きそのものである。

家が人をつくる。
家が人間性を育てる。
建築とは何か。
建築はどうあるべきか。

住環境と精神構造や脳内ホルモンの分泌は密接な関係がある。
(ドーパミン、セルトニン、ノルアドレナリン)

海馬の発達は、ストレスを減らしてくれる。
同じところばかり見ていると、海馬の働きは低下する。
変化のある環境にいると海馬は発達する。

人がいい仕事をするために健康を取り戻すのは自分の家である。

そして最後に、松永修岳理事長(風水環境科学研究家)の熱いメセージ。

幸せは、幸福を感じられる住環境からつくられます。
今の住環境の延長上に「幸せで健康的な人生」が待っているのでしょうか。
心が幸せになることが、人生の成功です。
人間性の高まる住環境をめざしましょう。

ガンバリマス!

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※ガンについてのテーマも大きく取り上げられました。
これについては次回にまわします。