ワクワク探しプロジェクト

私の会社の仕事は、ウォールアートで空間を演出することです。
しかし、もっと簡単に言えば、「ワクワク空間をつくること」と言い切っても過言ではありません。
「自分の好きなアートやデザインを駆使して、ワクワクする空間をつくり、人に喜んでもらう」という、これ以上楽しい仕事はありません。

なのに、新入社員たちは余裕がないからでしょうか、仕事を楽しんでいるように見えません。
落ち込んでいる者もいます。
今までにリタイアしていった人も何人もいます。
もうひと息で、新境地にたどり着けるところまで行って諦めていく人を見ると、自分のことのように悔しいです。

これは私の伝え方、リードのし方が悪いせいなのだろうと思います。
私とナンバー2は、この仕事を楽しみ大いなる夢を抱いています。
が、楽しいはずの仕事、面白いはずの仕事を、実際に楽しんでやるのは難しいようです。
ワクワク空間をつくっていくことには飛びついても、ひとつひとつの物件で具体的に形にしていくプロセスがどうも見えないようです。
それは、ひとつひとつ経験を重ねていけば誰でも体得できると思うのですが、やる前に考え込んでしまう傾向が若い人に多くなりました。
もっと、気楽に飛び込んでくれれば簡単に前に進めるのに、あれやこれや考え始めて、やる前からすくんでしまう。
つまり、フリーズしてしまうのです。

学校教育のあり方にも大いに問題があります。
詰め込み教育、消化型教育になって、実体と向かい合ったり、じっくりと考えたりせずに、答えを教えられる。
本人が自分で考えて答えを出すまで待てずに、答えを押し付ける親や学校。
どうせいくら考えても、答えはこれしかないと言わんばかり。

また、情報化が進んで、もっともらしい答えが悪魔のささやきのように目から耳から入ってくる。
社会も、スピード競争が激化し、彼らがじっくりと育つのを待ってくれなくなった。
まわりのスピードに、自分の思考がついていけなくなり、外にある答えを流用して済ましてしまっている感じがします。
だから、実践の現場に入って自分が当事者しなった途端、応用がきかずにボロが出て、しまいにパニックになってしまいます。
外から得た答えはヒントにはなっても、最終的には自分で考えて、行動し、確認しなければ、自信(確信)にならないし、その自信こそが自分の答えになるのです。
そういう意味では、今の若者はその部分の教育がそっくり抜けていて、本当に気の毒です。

といって、すでに卒業してしまった人たちのことを、今さら学校教育に押し付けても仕方ありません。
従来の「教える」「やらせる」というのではなく、「一緒にやる」「いろんな情報や体験を共有する」「達成感を味わう」「一緒に喜ぶ」「評価される」「自信を持つ」「連帯感(絆)や仲間との信頼感を育てる」といた具合に、かみ砕いてわかりやすく伝えていかなければならないようです。

「アートやデザインで人を喜ばせる」といっても、いざとなると何をどうしていいのかわからない。
でも、ラジオ体操や街中でのボランティア活動ならすぐ実感できる。
とすれば、これからの指導の仕方を仕事一辺倒から遊び感覚や日常感覚に置き換えて、吸収しやすいように変えていかなければいけないと思います。

話しを元に戻して、彼らが「ワクワク空間をつくる仕事」にどこから手がければ、私と同じように仕事が楽しくて楽しくて仕方なくなるのか、です。
ナンバー2ができるまでは、私一人で孤軍奮闘し、なかなか伝えられないもどかしさにイライラしていました。
でも、強力な理解者ができると、あらゆる方策を考える余裕が少し出てきました。

そのひとつがこれ。
1月になって、毎朝のように10~20分程度やっていることがあります。
「ワクワクするもの」というテーマでブレストをやります。
また、自分がワクワクしたモノやコトを持ち寄って発表しあいます。
ブレストを元に、具体例をスクラップします。
こうして、ワクワクするモノをとことん探し出すのです。
次に、そのどこの部分がワクワクを感じたのかを発表しあいます。
出てくるわ、出てくるわ。
一人ずつに考えさせていた時は、ほとんど出てこず、苦しんでいたのが、嘘のようです。
(以前なら、そこから先は私が中心になって進めていました。)
全員で意見や情報を出しい、情報を共有すること。
そして、目標が決まったら全員で手分けして作業すること。
これは、学園祭と似たプロセスです。

人をワクワクさせるためには、自分がワクワクしなければいいものはできません。
しかし、それを仕事と意識した途端、自分の中から「ワクワク」が逃げてしまう。
といって、「仕事は遊びだ」というと、若い人は誤解してしまう危険性があります。
学園祭的な企業風土こそが私がめざした企業の姿。
私の会社は、これからもずーっと「ワクワク空間づくりの専門会社」をめざして進みます。
ならば、比類のない面白い企業風土をつくっていかなければなりません。

新しい会社の形に向かって、まだまだスタートしたばかりです。