美大への疑問、そして壁画プロ養成所の開講

美大や美術デザイン専門学校は、全国に約150校あります。
当社にも毎年、北海道から沖繩まで全国から就活の学生がやって来ます。

この2、3年、学生たちのレベルが著しく低下していることにすごく憂いを感じます。

当たり前な一般常識を知らない。
では、専門バカで、専門知識や技術力があるかというと、それもない。
伸び盛りの彼らが、2年ないし4年間も学校で学んできたことって、一体何でしょうか?
甚だ疑問です。
というより、怒りさえ感じます。

これは、学生たちのせいでしょうか。
全く違います。
きちんとした、教育を受けていないのです。
家庭でも、学校でも!

先日、ある大学教授と話す機会があり、「大学がもっと教育に対してきちんとした姿勢を示さなければいけないのではないでしょうか」と尋ねたところ、びっくりする答えが返ってきました。
「学校は、教育するところではありません。あくまでも、学問の場です。学生自らが課題を見つけて、追求していく場です」
私は、ポカ~ンとしてしまいました。

就活で訪れる学生たちを見ても、「自ら問題意識を持ったり、課題を見いだせる」ような人は、ほとんど見当たりません。
結局、大学に行っても、4年間「何を学んでいいか」すらわからないまま卒業していく、ということになります。

最近では、企業でさえも教育を全くしていない所が目に付きます。
ビジネスマナーも何も教育されていない社員が、客先に電話をかけたり、訪問している。
これは、会社の信用問題です。

当社のような零細企業ですら、あいさつや言葉づかい、電話や来客の応対、掃除の仕方、報告・連絡・相談、仕事の優先順位、仕事のモノサシ(判断基準)、原価意識・・・・等々、仕事をする上での最低の教育は行っています。

話を元に戻しましょう。
教育の始まりは、家庭です。
我が子が可愛ければ、親が自ら教育するのは当り前。
学校のせいにするのは、言語道断です。

学校は、子供たちが社会に出て、自分で自分の人生を切り開いていくための、知識や技術や心構えを学習する場だと思います。
小中高の学校の先生たちは、先生としての威厳を失い、親たちの顔色や世論にばかり気をつかい、大学や専門学校は生徒の獲得(売上の維持)にばかり目を向け、求心力や指導力がなくなっています。
家庭も学校も、企業であれば、存在価値がなくなり、崩壊(倒産)寸前というところです。

日本は、いつの間にか「何か不都合なことがあると、すぐ人のせいにする」悪い習慣をつけてしまったようです。
人のせいにしても、何も解決しません。
結果、今の日本のように責任のたらい回し。
たらい回しがいくつも連鎖することで、問題の本質が見えなくなり、解決できないまま迷宮入りする事件が後を絶ちません。
大手企業などでは、「リスクマネジメント」と称して、責任回避システムや責任を外部化するためのアウトソーシングを進めています。
実に、嘆かわしいことです。

自分のこと、自分に関することについては、自分が責任をとる。
自分の外にある問題についても、自分にとって他人事ではないと思ったら、自らそこに飛び込んでその問題の解決に取り組む。
私は、親や学校や就職先の先輩たちから、そう学んできました。

学校についての不満や憤りも、外から非難するだけでは解決しません。
非難しても、私の気が済む訳ではありませんし、ストレスが溜まり、自分自身が腐っていくだけ。
自分にできることで、行動を起こすことです。

壁画プロ養成所の「かすかべ壁画塾」を再開しようと決意したのもそのためです。
現状の美大や専門学校にできないことを、実現していこう、と。
エセではなく、「真の壁画プロを育成して、実際に食っていける状況を創りだしていくこと」。
壁画塾の目的は、実にシンプルで明快です。
でも責任は重大です。
壁画塾の経営は、今はとてもビジネスにはなりません。
今の教育現場に対する憂いと使命感が決断の動機です。
ただ、これをやり遂げたら、そこには「アートを仕事にする可能性」が飛躍的に広がり、ビッグな市場や雇用が生まれる、と確信します。

今の美大や専門学校にアンチテーゼをぶつけて学校が変わるキッカケになれば、それだけでも意義はあると信じ、チャレンジするのみです。

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