ビッグアートは女性の時代に突入!

ビッグアートの社員は女性ばかりです。

20年前に創業したときは男性ばかりでしたが、2000年あたりを境に女性が多くなり始めました。
毎年、学生や既卒者、経験者が応募してきますが、応募段階で女9対男1という感じです。
若い世代の男性たちが元気がなくなったとか、女性がたくましくなってきたとか言われますが、その傾向は顕著です。
男性の専売特許だった「タフさ」や「チャレンジ精神」「開拓精神」はいったいどこに行ってしまったのでしょう。
まして、就職活動に至っては、安全でリスクの少ない場所ばかり求めているようです。
アートというと、仕事が少なく、収入が少なくかつ不安定で、しかも実力主義の厳しい世界というイメージがあります。
確かに大部分は当たっています。
私は逆に、誰もがやりたがらないから面白いし、やりがいがあると思っていますが。

「狭き門で、勤務条件が厳しく、リスクが高い」「その世界で全うするのは難しい」という当人の理由と、「苦労の少ない安定した生活」「少しでもリスクの少ない世界」を選ばせようとする親の働きかけがもたらした近年の傾向なのでしょう。
男性は、家族の生活を背負う責任があるという昔からの固定概念もあります。
だから、「好きな仕事よりも食える仕事」「やりがいよりも安定した仕事」を選ぶ傾向が強いようで、アートの世界ははなから対象にしていないように見えます。

女性は、まったくその反対です。
好きな仕事、やりがいのある仕事のためには、収入や多少のリスクは屁でもない。
たくましくて、育て甲斐があります。

どこの現場に行っても、施主の方や工事業者の方からビッグアートの社員は大人気でよく褒められます。
皆さんから「全員が生き生きとして本当に楽しそうに仕事をしている」と異口同音におっしゃいます。
私のところに来て、「最近の若者は全然元気がない。あんなに元気で頼もしく仕事している若者は初めて見た。どうすればあんな風になるのか。特別な教育をしているのか」とよく聞かれます。
うれしいですね。

確かに皆よくがんばっていると思います。
寒くても暑くても弱音ひとつ吐きませんし、昼食の時以外はほとんど休憩も取らずに黙々と楽しそうに制作に打ち込んでいます。
休憩を取るのが惜しくて仕方ないのです。
手を止めるのがもったいないのです。

私は仕事では妥協を許しませんし、彼らに対しても厳しい姿勢で接しています。
めったに褒めません。
そのせいか、ちょっと褒めるとすごくうれしい顔をしてくれます。

いつも、「好きな仕事をさせてもらっているのだから、最高の作品をつくるために全力を尽くすのは当然だ」と言い続けています。
多分、私と同じ考え、価値観を持った人だけが私のところに集まって来たのだと思います。

ただ、唯一やっていることがあります。
毎日のように「夢を語ること」「将来のビッグアートの姿を言葉や図にして見せること」です。
そして、即実行に移すことです。
夢は見るためにあるのではなく、実現するためにあるのですから。
皆で一丸となって努力して、皆で理想の「面白い会社」を作ろうということです。

ある社長が言っていました。
「社員は育てるのではなく、勝手に育つものだ」と。
育てようという意識は必要だと思いますが、もともと人には「成長したい」という欲はあります。
その意欲を摘み取らないこと。
成長の邪魔をしないことだと思います。

もうひとつ心がけていることがあります。
どうすれば楽しく仕事ができるか。
どうすれば世界一面白い会社ができるか。
ということを、常に自問自答して、社員たちともアイデアを出し合っています。

話を女性の話に戻します。

社員が女性ばかりになり、たくましく華やかになってきたのはいい傾向です。
ただ、女性社員が増えると一気に経営的にはリスクが高くなります。
定着性という問題です。
「結婚」「出産」「子育て」果ては「親の介護」という障壁です。
やっと育った女性社員が、これからという時に辞めていく。
一般の会社が女性を会社の戦力として重要視しないという慣習はそこにあります。
ビッグアートはこの問題と真剣に取り組み始めました。
これから、ビッグアートを支えていくのが女性であれば、従来の体質ではいけません。
積極的に女性のプラスとマイナスの特性を受け入れて、彼らの能力ややる気を最大限に発揮させることが急務です。

これまで新卒中心に採用していましたが、社員の平均年齢(25歳前後)が若いため、若い女性の悩みを受け止めたり、アドバイスをしてくれる先輩がいないことが我が社の最大の欠点だと気づきました。
それに、結婚後も子育て後もこの仕事を続けて若手女性社員のモデルになる現役の先輩がいなかったことです。

一昨年、会社始まって以来初めて、子育て中の女性が入社してきました。
本人の通勤や勤務時間の問題、子供の学校や健康の問題、夫の仕事の問題など、仕事を続けていく上での問題が続出。
一旦は仕事をあきらめかけたのですが、彼女がこの難局を乗り越えることが次の若手女性社員たちの未来を切り開くことになると判断し、彼女の雇用継続の方法をあの手この手と模索しました。

現在、非常勤という形ですが、ようやく来年の4月から念願の正規復帰の目処がつきました。
ビッグアートにとっては、これが最大の転機になると信じています。
彼女の復帰を前に、急ピッチで会社の体制づくり、職場環境づくりを進め、次の飛躍に向けて準備中です。

今後も、アートやデザインの分野で活躍し、出産、子育てのために退職した女性の雇用を模索していこうと思います。
そのひとつが、在宅デザイナーです。
今月から早速、子育て中の元社員たちとその実験を始めることにしました。

辞めていった元社員たちが再復帰をしてくれることを夢見て、カバ社長はまだまだ奮闘を続けます。